むし歯になった部分には、詰め物や被せ物といった補綴物を使って修復する治療が行われます。
この補綴物にはいくつかの種類があり、保険適用でよく使われるのが銀歯やレジンです。
しかし最近では「セラミックのほうがむし歯になりにくい」という声もあり、保険外のセラミック治療を選択する方も増えています。
本当にセラミックのほうが再発しにくいのでしょうか?
この記事ではその理由や、それぞれの補綴物の特徴について詳しく解説します。
目次
■むし歯はなぜ再発する?
◎詰め物や被せ物の周囲に汚れが溜まりやすい
一度治療した歯が再びむし歯になる二次う蝕は、多く見られるトラブルのひとつです。
その主な原因は、補綴物と歯の間に生じる微細なすき間に歯垢(プラーク)が溜まり、そこからむし歯菌が侵入してしまうことにあります。
このすき間は目に見えないほど小さなものでも、時間の経過とともに菌が活動しやすくなり、やがて内部でむし歯が進行してしまうのです。
◎保険の銀歯やレジンは劣化しやすい
銀歯やレジンは保険適用で比較的安価に治療できる反面、経年劣化しやすいという特徴があります。
金属は熱で膨張・収縮を繰り返すため、長年の使用で結合部にずれが生じやすくなります。
また、レジンは吸水性があるため、水分を吸って変色・劣化しやすい素材です。
結果的に歯との密着が弱まり、すき間から細菌が侵入しやすくなるため、むし歯が再発するリスクが高まります。
■セラミックがむし歯を防ぎやすい理由
◎化学的にも物理的にも安定した素材
セラミックは陶器と同じような構造を持つ素材で、非常に硬く、変色や変質を起こしにくいという特徴があります。
熱や水分、唾液に強く、経年によって形が変わることも少ないため、長期間にわたって歯とのすき間ができにくいのです。
このように高い安定性を持っていることから、補綴物としての信頼性も高く、再治療のリスクを減らすことにつながります。
◎汚れが付きにくく、プラークが残りにくい
もうひとつの大きな特徴は、セラミック表面の滑らかさです。
プラークは凹凸のある場所にたまりやすく、ざらざらしていると、食べかすやプラークがたまりやすく、歯磨きをしても落としきれない汚れが残ってしまいます。
セラミックは表面がつるんとした質感で、プラークが付着しにくく、清潔な状態を保ちやすい素材です。
結果的に、むし歯や歯周病のリスクを抑えることができます。
■保険か自由診療か、どう選ぶ?
◎それぞれにメリットがある
保険診療の銀歯やレジンは、費用を抑えられるという大きなメリットがあります。
症例や患者さまの希望によっては、十分に満足できる選択になることもあるでしょう。
ただし、再治療を繰り返すことで結果的にコストがかかってしまったり、歯の寿命を縮めてしまうケースもあります。
長期的な視点から考えると、最初に自費診療のセラミックを選ぶことが将来的な節約になることも少なくありません。
◎自分に合った素材を選ぶために歯科で相談を
補綴物の素材選びは、見た目・費用・耐久性など、さまざまな要素を総合的に考える必要があります。
ご自身の口腔環境や生活スタイルに合った選択をするためにも、まずは歯科医院で詳しい説明を受け、納得したうえで決めることが大切です。
【むし歯予防の鍵は、素材選びと日々のケア】
むし歯は、治療を受けたあとも再発のリスクがつきものです。
特に、詰め物や被せ物をしている歯は、知らない間にむし歯が進行していることもあるため、素材選びが予防の第一歩となります。
セラミックは、変質しにくく、汚れがつきにくいため、むし歯の再発を防ぐ素材として有用です。
長く歯を守るためにも、補綴物の素材にはぜひこだわってみてください。