歯科治療において、セレック治療は近年注目を集めています。
セレック治療は、セラミックの詰め物や被せ物を歯科医院で作製・装着できる技術です。
従来の方法と比較して診療時間が短くなり、その場での作製・装着も可能です。
この記事ではセレック治療の流れと、治療費用、保険適用について解説します。
目次
■セレック治療の流れ
◎初診と診断
歯科医師がむし歯などを切削した後の歯の状態を確認し、セレック治療が適しているか診断します。
その後、治療が可能であれば専用のスキャナーで歯をデジタルスキャンし、3Dデータを作成します。
これにより、従来の型取り~技工所への発注が不要になり、歯科医院で治療が完結できるようになっています。
◎デザインと作製
CAD/CAMシステムでスキャンしたデータを基に詰め物や被せ物をデザインし、設計データをもとにセラミックを削り出します。
作製にかかる時間は、短ければわずか15分〜30分程度で完了することもあります。
※作製するものによって作製時間は異なります。
◎試適と装着
削り出したセラミックを実際に歯に合わせ、噛み合わせや形状を調整します。
問題がなければ接着剤で装着し、後日の調整を経て治療は終了です。
■セレック治療の費用
◎自費の場合
費用の目安として、セレックインレー(詰め物)は1本あたり40,000円~60,000円、セレッククラウン(被せ物)は50,000円~80,000円程度が一般的です。
◎保険の場合
費用は治療対象の歯によって若干異なりますが、3割負担の場合、9,000円程度が目安です。
■セレック治療の保険適用について
◎素材や治療個所によって診療方法が異なる
セレック治療の保険適応は、2024年6月の改定によって適応範囲が拡大されましたが、治療に使用される素材や治療箇所によって、保険適用となる場合と適用外となる場合があります。
素材、部位によって変わりますので、事前の確認が必要となります。
◎オールセラミック
セレック治療に使用されるセラミックブロックには、オールセラミックとハイブリッドセラミックの2種類があります。
オールセラミックは全ての場合において現在も保険適用外となっています。
◎ハイブリッドセラミック
セラミックとプラスチックを混ぜて作られた素材で、2014年より段階的に保険適用が認められています。
この素材を使用することで、特定の条件下で保険適用の治療が可能です。
◎前歯と小臼歯部は保険適用
前歯と小臼歯部の被せ物は、セレック治療で保険適用が可能です。
特別な条件はなく、誰でも保険適用で前歯に白い歯を入れることができます。
◎大臼歯
色の選べない材料の場合
大臼歯のセレック治療においては、2024年6月から新しい基準が設けられるようになりました。
一定の材料では、色を選ぶことができない反面、大臼歯部であっても保険適応となります。
色の選べる材料の場合
一方で、色を選べる材料はいくつかの条件があります。
まずは、治療を希望する側と反対側に嚙み合わせ(ブリッジ含む)があることが前提となります。
その上で、
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被せ物をする側の歯が噛み合って(ブリッジも含む)いる場合
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被せ物をする側の対合歯が欠損している、または部分床義歯であっても、手前の歯がしっかり噛み合っている場合
が適応となります。
このあたりの保険が適用になるか・ならないかの判断は患者側では少し難しいですよね。自分の歯が保険適用になるか気になる方は、事前に歯科医師に確認してみましょう。
【その場で作製、装着も可能なセレック治療】
セレック治療は、先端のデジタル技術を活用した歯科治療です。
短時間で治療が完了し、見た目にも美しい仕上がりが得られるため、多くの患者様に選ばれています。
ただし、費用は保険適用外となるケースもあるため、事前の確認が必要です。
また、セレック治療は全ての工程が歯科医院で完結するため、歯科医院の実績や技術を特によく確認することが大切です。
事前に疑問点を解消し、自分に合った治療法を見つけましょう。